建築撮影におけるブラケット撮影とレタッチのテクニック|プロカメラマンが現場で実践する方法

建築撮影において、室内と外の明暗差は大きな課題のひとつです。

ご自身で物件を撮影される際に「窓から差し込む強い光」と「室内の陰影」のバランスに悩んだことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「窓が白飛びする」「部屋が暗く沈む」といった仕上がりは、せっかくの空間デザインを台無しにしてしまいます。

この問題を解決する手法が、ブラケット撮影とレタッチです。

本記事では、現場でプロが実践しているブラケット撮影のポイントから、自然で美しい写真に仕上げるレタッチテクニックまでを、実例とともに詳しく解説します。

少し専門的な話にもなりますが、設計事務所・住宅メーカーのご担当者様にも役立つ内容になっていますので、ぜひご参考ください。

ブラケット撮影とは?

ブラケット撮影とは、明るさを変えて複数枚の写真を撮影し、それらを後で合成して一枚の画像に仕上げる技法です。この方法を使うことで、露出が異なる部分(例えば、非常に明るい窓の外と暗い室内)を自然に収めることができます。

今回はこちらの3枚で明るさを調整しました。

ブラケット撮影の手順

  1. カメラ設定 カメラの露出設定を手動で調整し、3枚以上の写真を撮影します。それぞれの写真は異なる露出設定(オーバー、ノーマル、アンダー)で撮影します。 露出は、画質や被写界深度(ピントとボケ)が変化しないようにシャッタースピードで調整することが多いです。
  2. 三脚を使用する カメラがブレないように、三脚を使用することが重要です。もし撮影中にブレてしまうと合成の際に写真がズレてしまい調整に時間がかかってしまいます。 またシャッターボタンを押すだけでもブレてしまうので、状況に応じてレリーズやセルフタイマーを使い分けて撮影します。
  3. AEB機能を活用する 自動で露出を変えて撮影できるAEB機能*を使って連写することでカメラに触れずに露出を変えられ、手ブレを防ぐことができます。 ただし、車や通行人の多い場所などは連写すると合成しずらくなるため、そのあたりはケースバイケースです。

AEB機能:Auto Exposure Bracketingの略で、自動的に露出(シャッタースピードや絞りの組み合わせ)をずらして複数枚の撮影をする機能)

レタッチで仕上げる

ブラケット撮影を使って撮影した写真は、後でHDR合成レタッチを行い、最適な明るさとコントラストを作り出します。これにより、窓の外の景色も室内のディテールもきれいに収めることができます。

レタッチのステップ

1.基本的な調整
撮影した写真をまずはCapture Oneで色補正します。
ホワイトバランスやハイライト、シャドウを整え、明るさが違う3枚をできるだけ同じ設定で調整して、RAWからTIFFに書き出します。
オーバー・ベース(適正露出)・アンダーの3枚があると合成がしやすくなります。

captureoneで色味調整

2.合成作業
Photoshopでベースにオーバーとアンダーの画像を重ねて調整していきます。
レイヤーマスクで使いたい部分だけ(例えば窓の外側だけ)を表示して、人間の目で見える画に近づけていきます。
少し細かい話になりますが、細部までこだわって合成するときは選択範囲を作って微調整していきます。

窓や床の白飛び部分を選択し、アンダーの画像と合成します。

合成により明るい部分と暗い部分の差をなじませました

3.仕上げ
部分的な合成が一通りできたら、ハレーションや余計な映り込みを消して、全体のトーンをなじませたら完成です。

調整前
完成

ブラケット撮影とレタッチを使いこなすコツ

  • 光のコントロール
    事前に現場で光の状態をチェックし、まずはベースの明るさを決めるのがポイントです。
    仕上がりのトーンが暗めなのか明るめなのかを考えて露出を設定すると後の編集がしやすくなります。
  • レタッチが過剰にならないように
    合成やレタッチは非常に有効な手段ですが、過剰な処理は不自然な仕上がりを招きます。自然な明るさとディテールを保つことを心掛けましょう。
    また、やりこみすぎると工数がかかって作業時間が無限に伸びてしまうので要注意です。
  • 現像も重要
    Photoshopで合成する前の色味調整も実は非常に重要です。
    ここで色味やベースの明かるさ、トーンを決めて、最後の仕上げに合成をするイメージです。
    この作業を丁寧にすることで仕上がりの綺麗さが変わってくると言っても過言ではありません。

まとめ

ブラケット撮影とレタッチをすることで、より見た目に近い写真に仕上げることができます。

ただし、やはり一番大切なことは、最終的にどんな画を求めているかをまず考えることです。

私たち株式会社500G 建築写真撮影チームでは、様々な工夫と技術でクライアント様が求めるイメージをビジュアル化することを得意としています。

また撮影だけでなく、紙媒体、WEB、SNS運用などの制作分野まで幅広くご対応可能です。

ぜひお気軽にお問い合わせください!